こっち向いて笑って、先輩!
「もし、桃ちゃんが和那を好きにならなかったらとか考えないのかよ」
「そりゃ、妄想ならいくらでも自分の都合のいいようにできますけど……けど結局、如月先輩を見てる来原の顔とか、如月先輩を好きな来原も含めて、俺は来原の全部が好きだから、ありえないと思います」
誰かの女になってしまって欲しくないって気持ちも本心で。だけど、俺が先輩にヒントを与えれば、来原の笑った顔がまた増えると思うと勝手に動き出していて。
損する性格だとかなんとでも言えばいい。
来原のあの笑顔を見られること、友達として隣を歩ける特権。
それらに比べたらどうってことないんだ。
どうってこと。
「ほんっと、お前らみんな似てんなー。自分の気持ちより他人のことばっか」
「そう言う流星さんだって、わざわざこんなところに来てバカなんじゃないですか。別に落ち込んでないですよ。わかってたことなんで」