こっち向いて笑って、先輩!


「もし、桃ちゃんが和那を好きにならなかったらとか考えないのかよ」


「そりゃ、妄想ならいくらでも自分の都合のいいようにできますけど……けど結局、如月先輩を見てる来原の顔とか、如月先輩を好きな来原も含めて、俺は来原の全部が好きだから、ありえないと思います」


誰かの女になってしまって欲しくないって気持ちも本心で。だけど、俺が先輩にヒントを与えれば、来原の笑った顔がまた増えると思うと勝手に動き出していて。


損する性格だとかなんとでも言えばいい。


来原のあの笑顔を見られること、友達として隣を歩ける特権。


それらに比べたらどうってことないんだ。


どうってこと。



「ほんっと、お前らみんな似てんなー。自分の気持ちより他人のことばっか」


「そう言う流星さんだって、わざわざこんなところに来てバカなんじゃないですか。別に落ち込んでないですよ。わかってたことなんで」


< 264 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop