こっち向いて笑って、先輩!
「どうしたの?誰かによう?」
少しギャルっぽくて、怖そうだななんて印象を抱いた先輩がそう言って、私を階段の端の方へ連れてきて人混みに流されないようにしてくれた。
2歳しか違わないはずなのに、3年生はやっぱり大人だ。こういう気遣いをサラッとできちゃうもん。
「誰かって、如月しかいねーんじゃねーの。ね?」
後ろから様子を見ていた男の先輩がそう聞いてくる。
「あ、はい、その通りでございまして。渡したいものが……」
「おっけ、じゃあおねーさんが連れてってあげるよ。教室わかんないでしょ?」
「え!いいんですか?」
先輩たちだってお昼休み中なのに……。
「ほら、行こう」
先輩がそう言って私の手を捕まえて階段を上り出した。