こっち向いて笑って、先輩!
「で、用件は?」
「あっ、はい、すみません食事中に。あの、これ、昨日の……」
そう言って、先輩に紙袋を差し出す。
「あぁ、わざわざご丁寧にどうも」
「……っ、」
『ちゃんと言うのよ?マフィン作ったのでよかったら食べてくださいって自分の口で』
みっちゃんにそんなことを言われたけど、なかなか口が開かない。
どうしたんだろう。ちょっと前までは堂々と告白なんてしてたのに。
先輩のために頑張って作ったから、みっちゃんも手伝ってくれたから、私が余計なことを言って台無しにしちゃったらどうしようとか変な心配をしてしまう。
きっと、前よりも確実先輩のことを好きなっている証拠だ。
最近なにかと先輩にお世話になる機会が多くて、私の1つ1つの何かでそれが壊れないようにと思うと……。
「おーい!和那〜?」
下から、野村先輩の声がする。
「あぁ、今行く」
あぁ、どうしよう。終わりだ。
先輩との時間が。