私と結婚してください。




校門のところにはいつもながら吉良家の車が停まっていて、その車に乗り込めばいつもながら私では絶対に足を踏み入れない高級ブランドがあるデパートへと到着する。


最初の頃はお店のソファに座って「さぁ選べ」状態だった凰成も、今では

「…お前は黒って感じじゃねぇよなぁ」

ちゃーんと、ひとつひとつを手にとって、私に合わせて選んでくれる。
ちゃんと私に似合うものを選んでくれるようになったんだ。

「かといって赤のドレスも…違うよなぁ」


…なんか、やたら大人っぽいデザインのを手に取る凰成だけど
私、そんなにそういうの似合いませんかねぇ?
意外とイケませんかねぇ?ねぇ?


「ま、やっぱり希依はこういうのかな」


そういって次に私に合わせたのは、薄いオレンジ色のきれいなドレスだった。


「わっ…、かわいい」

「んならこれにするか」

「ちょ、ちょっと待って」

「あ?なんだよ」

「いや…確かにかわいいんだけど
それ着ていくような機会ないんだけど…」


だって、どうみてもドレスよ。
エレガントなワンピースよ。
私は結婚式にでもお呼ばれしたんでしょうかねぇ?


「はぁ?なにいってんだよ
今夜は会食だろ?」

「え?」

「それにみすぼらしい格好で行くのかよ」


ちょ、え?
今日の夜のため?

ってことは、凰成は私の縁談がうまくいってほしい、ってこと?


「あとで美容室も予約しておいたから。
ちゃんと髪の毛もセットしていけよ」


ねぇ、どうして?
どうしてそんなに楽しそうなの?

そんなに、嬉しいですか?


「……帰る」

「は?え、おい!」


楽しそうに服を選ぶ凰成に腹がたって
私はこんなに嫌なのに
私は凰成が好きなのに

ほかの…婚約者候補の男との会食のために楽しそうに服を選んでる凰成を見て
無性に虚しくなった。

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