私と結婚してください。
「ちょっと待てよ!」
早足で逃げる私なんて、足の長い凰成にはすぐに追い付かれた。
「なんで帰るんだよ。
意味不明だろ」
「…凰成は、なんでそんな嬉しそうに服を選ぶの?
私は今夜結婚しなきゃするかもしれない嫌いな男と会うんだよ?
そんなん、別に服なんてなんだっていいじゃん」
「相手が誰だろうとそういうわけにはいかねぇだろ」
「じゃあ凰成は私の縁談話がうまくいけばいいと思ってるの?
そしたら私は神楽にもいられなくなるんだよ?
凰成は私に出ていってほしいの?
…凰成って、なに考えてるんだかわからないよ」
私がそういうと、凰成は私の手を掴んで歩き出した。
「ちょ、凰成!」
私がそう呼び止めても止まることもせず、強く握られた手についていくしかなくて
私は非常階段までつれてこられ、壁に押し付けられて
強くキスされた。
「んっ、…んな、なにっ」
いつもなら嬉しいはずのキスも、今は悲しいしか感じなかった。
「なんで今キスするのかもわからない
凰成の考えてることがわからないよっ…」
もう全然わからなくて、私は目から涙が溢れた。
「本当に、わかんねぇのかよ」
「…え?」
「毎日一緒にいんのに、まだわかんねぇのかよ。
西島のことはわかったくせに、まだ俺のこともわかんねぇのかよ」
「だ、だって
めぐは中学生の頃から毎日一緒だったからわかるよ!
でも凰成はまだ1年もたってないじゃん
わかるわけないじゃん!」
「お前がわかろうとしてないからだろ。
じゃあお前はどうしたらキスするんだよ」
「は?」
「お前ならどういう相手でどういう気持ちからキスするんだよ」
「そんなの…」
そんなの…好きな相手で、好きだから、で…
好きだから、キスしたくなる…
……え?ってことは…
「ここまで言ってもわかんねぇのかよ」
そういう凰成の頬は…ううん、耳まで
赤く染まっていた。
「…え、なに…意味わかんない…」
「は!?まだわかんねぇ…っ、」
意味わかんない。
意味わかんない。
でも、私は気づいたら凰成に抱きついていた。