社長、僭越ながら申し上げます!
出社の準備をして玄関で靴を履いていたら

湊さんに呼び止められた

「こんなに早く行くの?」

「はい、まだまだ新人ですから…秘書課でお勉強しようと…」

配属初日だし時間通りなのは当たり前で
早く行って様々な事を準備したかった

「…そっか、分かったじゃあ7分待って」

「は、はい……」

7分…と言われたので何か言付けがあるのだろうと私は玄関ホールに腰かけて待つ

待っている間は秘書検定で勉強したまとめメモや
昨日頂いた資料などを見ていた


「お待たせ、行くよ乃菊」

「へ?どこへ」

きっちり7分後

細身のグレーに白のピンストライプのスーツを着て
髪をオールバックにした湊さんが
『社長』の風格でそこに立っていた

「会社でしょ?同じ所へ行くんだから一緒に行く……車の中で業務の説明もしていくよ」

「あの…それはさすがに…良くないのでは?」

(いいのかな)

「いいの!オレが異動させたんだから…遠慮する必要はないよ?」

社長はどこまでも私に甘い気がするが…
ここは受け入れた方が良いだろう

「はい…有り難うございます。ではご一緒させてください」

確かに行くまでにも教えて貰えるなら有難い

そのまま社長の車に乗って出社した

会社まで走りながら
『湊さん』から『社長』に変わった彼は
テキパキとスケジュールから私に伝えていく

「まず今日はアポが2件どっちも応対を頼む。
…合間には一週間で会う取引先のデータを読み込んでおいて欲しい。あとは会議室の予約が必要かな」

「はい…畏まりました確認してみます」

言われたことをしっかりメモしていく

折角頂いた仕事だからしっかりやりたい

「うん…頼りにしてるよ?」

「頑張ります!」

私が意気込んでいると運転席から小さく

「頑張らなくても乃菊は可愛いから…
居るだけでいいけどね?」

なんて聞こえてきていたのは

…聞かないふりをした


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