社長、僭越ながら申し上げます!
暫くは私の視線の先にも居たが
すぐにバルコニーに出たのか

……二人の姿は見えなくなった

(ああいう人がお似合い……よね、社長には)

改めて自分の姿を見る

ドレスは一流品、メイクもプロの手にかかれば
それなりに見えるものの


先ほどの女性のように匂い立つ美しさ

会場にいる品の良さそうな女性と比べると

明らかに見劣りしている

はぁ……

ため息をついていると

目の前に鮮やかなグリーンのミニドレスを着た女性が居た

「失礼ですが、貴女は湊さんの?」

「壱田の秘書の眞山と申します」

私は頭を下げた

資料でも見たことのない顔だがたぶん取引先の関係者だろうから……

「そう…秘書なのね、納得……こんな貧相な女が
湊さんの大事な方な訳はないわね?」

「あら、ミナエさん……ストレート過ぎます
ただの秘書なら容姿は関係ないんじゃなくて?」

「そうそう、ただの秘書なんですから」

いつの間に増えたのか

女性が三人、私を睨みつけている

「はい、仰る通りただの秘書です……」

黒いドレスを着た女性が不快そうに眉をひそめる

「本当に冴えない子ね」

見下すようにそう言われた直後後ろから声が飛んできた

「でもあんたらよりは素直で頭も良さそうだけど?」

慌てて三人が振り向くと……

「儀一さま!」

そこに居たのは先ほども会ったばかりの佐久間儀一さんだった

「大事な親会社の社員なんでね、いじめんなよ」

儀一さんがジロリと見回すと

「苛めるなんて…ねぇ?…では眞山さん失礼します」

三人は私から離れていった

「けっ、性格ブスどもめ……化粧より中身を直せよ」

儀一は長めの前髪をうるさそうにかきあげて耳に掛けると私を見てニヤリと笑った

「あんたブスだけど骨あるからイイよ。気に入ったよ」

「お褒めに与り光栄です」

(ブスってそんなハッキリ言わなくても良いとは思うけど……否定出来ない)

「ほら、そういうとこ……自分の事は怒んねーんだ?
湊をバカにすると訂正しろとか言うくせに」

「私については否定しようがないからです。湊さんに関しては誤りがあったので訂正を求めました」

儀一さんはプフと吹き出した

「いやぁ面白い……湊に色仕掛けしたとかじゃなさそうだな…」

「え?」

「会社でも噂になってっからアンタ
…急に社長秘書になんかなったから
湊と寝て役職貰ったんだとか…
でも色気ねーし、ブスだし…」

散々な言われように私は苦笑いした









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