社長、僭越ながら申し上げます!
美味しい食事にビールも出て来て

ほろ酔いになってきた頃

湊さんが私に言った
綺麗な唇から零れ落ちる台詞に仰け反ってしまう


「乃菊はオレの女神だから
……ねぇだからオレの傍に居て?
それが社長室に呼んだ理由だよ」

「な、なんで私なんですか?」

私と湊さんには接点が見当たらないし
絶世の美女なら納得も出来るけど、私の容姿は平凡だ

(女神って一体……)

「乃菊は、乃菊だからだよ、それが理由」

(なんなんですかそれは…)

じっと、湊さんが私を見た


少し緩めた襟元からチラリと覗く鎖骨が
湊さんの色気を増長しているし
何だか潤んだ目も艶かしい

イケメン、しかも一つ一つのパーツが大きくて
華やかな顔立ちの湊さんに直視されるのは中々耐え難い

ドキドキし過ぎて俯いてしまう

(気まずい……)

そんな空気を湊さんが変えてくれた

「そろそろ、帰ろうか」

柔らかい声でそう言ったのだ

私はホッとして座椅子から立ち上がろうとした

「はい……うあっ…」

「おっと……」

湊さんがふらついた私を
抱き止めた

「す、すみません…」

細身に見えるのに触れた腕はがっしりとした男性で

益々ドキドキしてしまう

(ううう……)


慌ててその腕から離れようとしたら
湊さんが私を抱き締めた

「乃菊……」

湊さんの指が私の背中を撫でる

甘い声で私を呼ぶその声が
少し震えているような気がした

「湊さん……?」

「抱き心地最高…ンフフ」

「へ…」

お腹周りをぷにぷにと触られ
カチンと身体が固まってしまう

「やっぱり乃菊は可愛いね!さ、行こう?
これ以上抱き締めてたらそれだけじゃ済まなくなるから」

湊さんがそう言いながら私の頬に唇を寄せた

「ヒィ!」

「なんて声!ほら、行くよ?」

妖艶に微笑む美貌の湊さんに

何が何やら分からないまま…手を引かれて
お店をあとにした

家に送ってくれると言うので大人しく
来た車に乗った


アパートに着くと湊さんが

「気をつけて帰るんだよ」

と、ヒラヒラと手を振ってくれた


私は私が階段を上り、奥から二番目の部屋の鍵を開けた




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