気まぐれ猫くんの手懐け方
私よりも少し身長が大きいくらいで、ほとんど変わらないはずなのに。
飛び込んだ先の猫くんの腕の中は
思ったよりも大きくて、暖かくて。
だけど全然落ち着かないし、安心しないし
どっちかというとドキドキしすぎて窒息死してしまいそうだった。
「俺さ、テリトリー荒らされるの、好きじゃないんだよね」
「……っ!?」
今まで聞いてきた中で、一番低い声でそう言った。
一瞬で空気が凍ったのがわかった。
「じゃーね、犬っころ」
「あ、こら三毛…!!」
玲央くんの呼び止める声も無視し、そのまま私の腕を引いて教室を出た。