気まぐれ猫くんの手懐け方
「ね、猫くん…帰ったんじゃ……!!?」
「黙って」
猫くんの視線は、少し上の方に向いていて。
それをたどれば、必然的に玲央くんの視線とぶつかっているのがわかる。
「忘れ物か?三毛」
「まあ、そんなとこ」
いや、さっきちゃんと鞄持って出ていったじゃない。
それとも、何か鞄に入れ忘れたとか?
「あのさ、あんまりズケズケ入ってこないでくんない?」
猫くんの言葉に、玲央くんは鼻で笑う。
「恐ろしく同意だ。俺も同じ気持ちだよ、三毛」
ちょ。
なにこの怖い雰囲気。
空気がピリピリしてて、触れてしまえばパリンと音を立てて壊れてしまいそうな程に。
「わっ!?」
ぐっと、猫くんに腕を引っ張られる。
そしてそのまま、猫くんの胸へダイブ。