気まぐれ猫くんの手懐け方
「なあどうだ!?イノシシがトラックを走ってるとこ想像して描いたんだけど…なんかこう、獅子奮迅!!みたいな!!」
やっぱ、絵は下手だから伝わりにくいか?
そう言って、照れたように笑って見せる玲央くん。
「…………ああああああ…」
まずい。まずいまずい。
アイデアって、昨日話し合った横断幕のイメージのことだね!?
昨日は猫くんのことで頭がいっぱいで、横断幕のことすっかり忘れてた。
「どうした陽愛、変な声なんか出して」
「どうしよう玲央くん!!」
ガシッと玲央くんの肩をつかむ。
「わた…っ、私!!何も考えて……」
「へえ?」
「!!」
『何も考えてない』
そう言おうとしたとき、隣から声がして。
涙を溜めた目で声のした方を見ると。