気まぐれ猫くんの手懐け方

***

会場は、いろんな出店で大賑わい。

私はその中でもあるものに惹かれていた。


「あ、見て猫くん! わたあめがあるよ!」

「あんな、子供の食べ物……」

「ねえっ、一緒に食べようっ?」


わたあめを売っているお店に向かって、猫くんの手を両手で引っ張る。


「…っ、もう、しょーがないなあ」


そんなペースで、私が「あそこ行きたい!」と言って猫くんを引っ張り

猫くんが私についてくる、という感じで出店を回る私たち。


もちろん食べ物だけじゃない。


射的をやれば、私も猫くんもどちらもへたくそで。


ヨーヨー釣りは、猫くんがかろうじて一個ゲットしてくれた。


意外にも猫くんは金魚すくいが上手で、近くに金魚がすくえず泣いていた女の子に、自分がすくった金魚をあげたりしていた。

そんな猫くんの優しい一面を見て、きゅーんとしないわけがない。



< 264 / 273 >

この作品をシェア

pagetop