ねぇ、顔を見せてよ
「岳お早う、クリームパンにする?」

紗由理さんがパタパタと出て来て河野さんににこやかに話している

「な、な、なんで河野さんが?」

私がビックリして言うと河野さんはニカッと笑った

「オレが紗由理の彼氏だから?かな
やっぱ紅子ちゃんだったか…」

「ん?岳、紅子ちゃんと知り合い?」

紗由理さんが首を傾げた

「うん、オレの友達の彼女」

「伏見くんと岳は友だちなんだ?知らなかったー」

紗由理さんはニコニコしていた

「あいつ可愛い彼女に夢中でここ数ヵ月連絡もしてこねーし…だから紗由理も会わなかったんじゃね?」

「あー、納得…」

二人でわかり合って微笑み合っていたけれど
私はついていけずにパクパクと口を開けてしまう

「紗由理から聞いてた特徴がどーも
紅子ちゃんとフッシーみたいだなと思ってたよ
…クリームパンくいてぇ…」

「今持ってくるね!」

河野さんはそう言うとイートインコーナーに座ると
紗由理さんは厨房に戻る


「紅子ちゃんがフッシーと仲良くしてて何よりだぁ…
ふふふ、たまには連絡してこいって言っといて?
紅子ちゃんも交えて一緒に酒でも飲もうよ」

相変わらずの柔らかい笑顔で河野さんが笑うと
私も幸せになる

「はい!」

見せていただいた青い絵が河野さんの作品なら納得だ

(河野さんの青は特別!)

暫くしてクリームパンと珈琲を持ってきた不機嫌そうなお兄さんは河野さんに

「ほれ食え、ワルモノヤ」

と、雑にパンを置きながら話しかけた

(ワルモノヤ……イイモノ堂だから?)

「無駄にイケメン有り難う、頂きます」

「うるせー、無駄じゃねーわ」

仲がいいんだか悪いんだか二人は悪態をつきながら
話しているのが面白い

暫く河野さんと雑談するお兄さんを見ていると
…スマートフォンが着信を告げる

(あ、巧くん…)

「はい…」

『なんで河野くんと居るんだよ!オレとのデート断っといて!!』

「え?」

ビックリしてキョロキョロすると
お店のガラスに巧くんが張り付いて
こちらをじーっと睨むように見ていた

「ああぁぁぁ!!」

「わっ!フッシー!なにしてんだ?!」




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