永久の誓いからの逃亡
ザーっと波の音が聞こえる。
波の音を聞いてると、頭の中が空っぽになってくる。

抜け出した先は、式場からしばらく下った場所にある海辺。
1月の海は震えそうなほど寒いけど、日差しがあるから海面がキラキラして見える。
砂浜に座って、砂の一粒一粒をじっと眺める。

「健やかなる時だろうと病める時だろうと関係なく、永久の愛なんて誓えない」

花嫁が結婚式当日に行方をくらますなんて、酷すぎる話だ。

今頃、式場では私がいないことに気付き始めてるのかな。

これからどうしよう…。

駿くんと出会った頃には、まさか結婚するなんて思わなかったな。

それが結婚することになって、結婚式を抜け出すなんてことも、もちろん想定してなかった。

今は全く別のことを考えたいのに…。
とらわれたように、駿くんとの思い出が次から次に溢れてくる。
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