永久の誓いからの逃亡
「あー、いますよね、そういう女性!
山道さん素敵だから、寄ってくるのは、そういう女性ばっかりなんじゃないですか?」

「えぇ、まったくもって困ります」

そうだ。
先輩は自分のことは棚にあげて考えるタイプの人だった。

駿くんも苦笑いを隠しきれてない。
それとも敢えて困った感じを出してるんだろうか。

「でも、そんな女性います?
グイグイいかないけど、時々大胆な行動をするなんて」

「大胆な行動の根っこには優しさがあるんだと思います。
優しさに積極的とでもいうんでしょうか。

具体的に言うと、突然雨に降られて困ってるところに傘を貸してくれるような。
それで何も見返りを求めず、自分は別の傘をさして帰るような女性って、いいなと思います」

あ…。
あの雨の日の出来事が鮮明に思い出される。

先輩は、まさかそれが私たちの思い出だなんて少しも考えてないはず。
それをこんなに堂々と…。

いろんな意味でドキドキする。

心臓がどうにかなってしまいそう。
もうここにじっと座っているだけで、身体が熱くなってくる。
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