七瀬クンとの恋愛事情
マンションまで着いたところで、一旦足を止めた
改めて一人でここにいることが一瞬不安になった
誰か待ち伏せしている気配はないし、部屋まで着いても扉に何か貼ってある様子もなくてホッと胸を撫で下ろし、急いで鍵を開ける
「松原さん?」
後ろから声を掛けられて、
瞬間ビクッと肩を上げた
「今日は早いんですね」
その声に振り向くと、普段の挨拶も会釈程度で話しなんてした事もない隣の部屋の小田さんだった
彼女は細身体系でニットワンピースと、ラフな格好だった
髪も簡単にまとめてお団子にあげていて
見た目の年齢は私と同じくらいなのに、明らかにノーメイクだ
「ええ、どうも」
とりあえず私は、社交辞令に少しの笑顔を向けて首を下げた
「あら、今日は愁士くんは一緒じゃないんですか?」
「え?」
「あっ、もしかして今日が制裁の日なんだ」
そう言って頭を傾けてニコニコと愛想よく私を見据えてくる
「……………せいさい?」
ずっと頻繁に彼はここに来ていたんだから、隣人が彼を知っていてもおかしくはない
実際、私が遅くて部屋の前で待ち惚けをしている時とか立ち話なんかをしていたかもしれないし
でも、それだけで『愁士くん』なんて名前呼びするものだろうか………?
それに、なんか今日の彼の予定が何だか知っているような口振りだ
「あ、そうだっちょっと待ってて」
いきなりそう言って自宅の部屋に戻った小田さんがそれを持ってきた