七瀬クンとの恋愛事情
「だって聞きましたよぉ、高科営業課長とのこと〜水臭いじゃないですか」
私より15㎝高い位置から顔を近づけ目を細めて見下ろされる
スラリとした細身の身長に合わせたフレアスカートに清潔感のあるブラウスと小振りの花柄スカーフを合わせたオフィススタイルだ
そういえば古坂さんとは、あの七瀬くんとのキスを目撃してからずっと接触がなかった
前はよく七瀬くん目当てに部署まで来ていたのに、最近パッタリ彼女を見なくなっていたっけ
「え、高科課長とって………?」
「付き合ってたんですよね、もう社内はその話題でもちきりですよ」
え、は?なんでそうなるの?!
「いや、それは………」
ここで社内にまで『嘘』が広まっては困る
「今の今まで社内恋愛をひた隠ししてきた極意を教えてもらいたくて、早速週末にでも女子会する事になりました。主任予定あります?」
社内恋愛の極意なんて言われても、ひた隠しにしていた相手は高科課長ではなく、それをみんなに言える訳もない
「う…」
それに今さっき、週末は七瀬くんがうちに来る約束したばかりだ
でもその女子会に行って、せめて噂になっている『偽装』だけでも否定しておいた方がいいのだろうか…
ガタガタッ ガターンッ
微かに倉庫扉の中から物の落ちる音がして、一瞬2人で顔を上げた
「あれ?中に誰かいるんですか?」
「えっ、う…ううぅんっ誰もいないよ、私1人だったからっ」
ふるふると首を大きく振った
「でも、いま音が…」
「あ、あぁあのごめんなさい、週末の夜はダメなの予定があって………でも明日のランチだったら」
「……ランチ、ですか?」
「うん、ダメかな?飲み会はまた後日で」