七瀬クンとの恋愛事情
「ついでに倫ちゃんの怪我した手のひらの手当てもしてあげてきて欲しいんだ」
「え?怪我、してました?」
「たぶんまだ治ってないだろう、結構酷かったから」
「頼むね、後から倫ちゃんへの差し入れ持ってくるから」と、名取の腕を軽くポンっと叩き戻って行った
「……………」
その会話が気になった俺はすぐに高科課長を追ってみると、
営業部から休憩コーナーへ向かう背中に追いつくと、声をかける前に課長は振り返った
あたかも俺が追いかけてくる事を想定していたのか
「高科課長」
「……………」
「金曜日、主任に何したんですか?」
そのままストレートに聞いた俺に、小さく溜め息をついた
「お前、あの後何も聞いてないんだな、その日何があったか……」
聞いてないっていうか、聞こうとしなかった
さっき言ってたいろいろあった事や、手の怪我の事とか
「俺が何かしたって? お前はそう思うんだな」
「…………っ」
短髪の髪を掻きながらもう一度俺を見直した
課長が目を細め口角を上げた
「部屋に連れ込んでシャワー浴びさせた。
自分のシャツを着ている好きな女を、お前だったらどうする?」
「…………っ」
どうするだと?! それを俺に聞くのか?
聞いた一瞬、カッと睨み殴ってやる勢いだった
しかしこれは挑発だ
我慢をこめて右手にグッと力を入れた
「俺は、課長のことじゃなくて倫子さんのことを聞いてるんですよ。さっき言ってた怪我ってどうゆうことですか?」
あの時彼女か怪我をしていたとか、全く覚えてない
完全に勝手な妄想に囚われていたから