七瀬クンとの恋愛事情
結局この間ずっと守られていたのに、その気持ちに応えられず
まるで恩を仇で返すかたちになってしまったのが申し訳ない
ゆっくりと歩いた先に駅が見えて来ると、路地も明るくなって疎らな人たちが同じ方向へと流れていく中
「この辺でいいですよ、きっとみんな課長を探してますって」
そう言って足を止め、抜けてきた送別会場へと戻るようにと、課長を見上げた
「倫ちゃん、今日あいつが……」
「?」
見上げた課長の視線が少し泳ぎながら口を濁す
「いや……いい、そうだな。ここで」
「はい、ありがとうございました。これからのご活躍を…ぉ…っ!」
いつも髪をくしゃくしゃにするほどの大きな手が
ゆっくりと頭を通り越して背中にまわり
引き寄せられながら課長の腕の中に収められた
「っ、かちょ…お?」
まるで泣いた子を扱うように頭の後ろ側から軽くポンポンとされ
「もう自分を抑えなくてもきっと大丈夫だから…」
「……え?」
そのまま、私の頭の上で盛大にな溜め息をついた
「さっき泣いてたろう。また七瀬と何かあったんだろうけど、本当に欲がないな倫ちゃんは。俺にしとけばよかったのに」
「……………っ」
抱きしめられてるというか、あやされているこの状態でそう言われる
「.……私も、そう思います」
胸の中に収まっていながら、私の両手はその気持ちを受け入れることができないと、頭を項垂れ手で胸を軽く押して距離をとった