七瀬クンとの恋愛事情

そう言ってここは余裕ある笑顔を見せるべきだと思ったのに

「……倫子さん」



ホッとしたのか頭を屈ませた彼の額が私の頭のテッペンにこつんと触れる


「……その他、あと4人」

「へ?」

「告られた。もちろん断ったけど」


すでに今週だけで5人?!古坂さんが離れただけで?
恐るべしは過去の古坂さんのバリケード……


「それは、もしかして自慢?」


なんか少し自信がなくなってきた……

顔を上げると目の前で歯に噛んだ顔して、またお互いのおデコがぶつかり合う


「違うよ、もし後からそれを他の奴から聞かされるよりはいいと思ったんだ。倫子さんは俺の宝物だから」


「た……っ!」

どこで覚えてくるのよそんな口説き文句



「倫子さん?」

そんなこと言われて恥ずかしくて伏せた顔が上げられない

年上の余裕が完全に崩されてしまった


「今日、行っていい?仕事早めに終わらせるから」

「う………っ」


コクっと小さく頭を下げた

「あ、でも藤間さんが……」

「それは全力で断るから大丈夫。」


そう言ってグッと親指を立てた



イヤイヤぁ、随分しつこそうでしたけど?





< 369 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop