七瀬クンとの恋愛事情
「名取さんごめんね。準備任せちゃって」
いつでも出せるように給湯室にお茶の準備だけしておいて会議室に戻ると、椅子や机の設置まで終わっていた
「大丈夫ですよ、藤間さんにも手伝ってもらったんで」
「藤間さんに?」
すでに出て行ったらしく、そこに彼女の姿はなかった
「サボっていた理由付けにちょっとだけですけど、案外と単純で扱い安くていい子でしたよ」
そう言ってニッコリと笑顔をみせた名取さん
「ふうん…」
総務部の女子社員である藤間さんに対して派遣組の名取さんが、褒めるなんてちょっと意外
「で、主任は?ちゃんと仲直りしてきました?
わかりやすく給湯室に行ったりして〜ふたりでなあにやってたんですか?」
そう言ってニヤニヤと顔を突き合わせてきた
「あ、いや……ははっ」
「いい加減周りにもはっきりさせた方がいいんじゃないですか?もうお互いフリーなんだし」
「……そ、そーゆうのは自然にいつの間にか噂になるくらいでね」
あら、付き合ってたの?的に
「そんなこと言ってて、もう第2・第3の古坂さんが秘密の彼氏を狙ってるかも」
「………………」
定時後、退社する前になんとなく七瀬くんのデスクを遠目から覗いた
べ、べつに名取さんの言った事を気にしてる訳じゃなくて、ただ何となく様子をね……
ああ、会議だったっけ?まだ戻ってないのかな?
仕方なく、ゆっくりと回れ右をする