ヒミツにふれて、ふれさせて。
・・・
「おう、めごちん。待ってたよ」
「お、お邪魔します…!」
近海くんのお家に着くと、温かい空気が身体を包んでくれた。中でワイワイと動いているのは、茶々ちゃんと瀬名。
近海くんは、大きなお鍋を用意しながら、「みんなと話し合った結果、トマト鍋にすることにしました!」と自慢げに話してきた。
近海くんのお父さんとお母さんは、仕事で帰るのが遅いからということで、準備から始めているとのこと。キッチンで野菜を切っていた瀬名と茶々ちゃんがわたしの方を振り返って、「おかえり!」と言ってくれた。
…瀬名は、少し心配そうな顔をしていたけれど。
「近海くん、わたしも何か手伝うよ。何すればいいかな」
珠理の誕生日プレゼントが入った鞄を下ろしながら、リビングのコタツにコンロをセットしている近海くんに聞いた。
でも、近海くんは少しだけニッと笑ってわたしの方を見ると。
「上に、珠理がいるんだよね。さっき、めごちゃんが元カレに会ってから、アイツったら、も〜心配して心配して。大変だったから、大丈夫無事だったよって、言ってきてあげてよ」
…そんなことを、言ってきた。
「…ええ、嘘でしょ」
「嘘じゃねーよー。だからって邪魔すんのもアレだったからさあ、そこは我慢して俺らと買い物行こうぜって引っ張っていったんだよ。だから今頃拗ねてんよ、きっと」
「…」
…バカじゃないの、って、思う。拗ねてるなんて、あのいつも余裕をかましている珠理からは想像できない。
「とりあえず主役が降りてこないんじゃ、始まんないから。頼むよ」
「…」
半信半疑だったけれど、“主役が降りてこないんじゃ始まらない” っていうのは納得できたから、わたしはエサにさっきのブレスレットを持って、上に上がった。