ヒミツにふれて、ふれさせて。
「…誕生日おめでとう、珠理」
珠理がこの世に生を受けて、17年の年が過ぎた。それは、どんな日よりも、珠理にとって一番大切な日。
珠理がいたから、わたしだって楽しかったし、いつも一緒にいる近海くんも茶々ちゃんも、瀬名も、楽しいんだと思う。
…珠理は、しばらく黙ってわたしの方を見ていた。笑って、告白してくれた時と同じ顔をしている。
わたしも目を逸らさずに、珠理の方を見ていると、窓越しに近海くんの声が聞こえてきた。
下から、呼んでいるようだ。お鍋の準備が、整ったのかな。それとも、手伝ってのサインかな。
「珠理、そろそろ、下に降りよう」
わたしと珠理の名前を呼んでいる。その声に返事をしながら、珠理の腕を引っ張った。
でも、その腕は限界まで伸びて、そのままツンと突っ張ってしまう。
「…珠理?」
「…」
繋がれている手を辿っていくと、珠理はまだベランダに背を預けたまま、少し首を傾げた状態で、わたしの方を見ている。
…その表情に、仕草に、心臓がドキッと跳ねた。
そして、珠理の低い透き通った声が、冬の空気に溶け込んでいく。
「……もういっこ、誕生日プレゼント、ちょーだい」
—— 手を引かれたのは、一瞬だった。
ブルートパーズがキラリと光ったと思うと、もう片方に隠れていた右手は、いつのまにか、首の後ろに回って。
その、綺麗な顔が傾いたまま、これまでに近づいてきたかと思うと、
直前で一瞬だけ止まって、
わたしと、目線を一瞬だけ合わせて、
「…っ」
唇の、すぐ横に、熱いものが当たった。