ヒミツにふれて、ふれさせて。


一瞬、何が起こったのか分からなかった。

ただ、唇のすぐ横に、熱くて柔らかいものが当たった。ただそれだけの感覚で。


ぼーっと、何が起こったのかを考えているうちに、珠理が顔を斜めに倒したまま、わたしから少しずつ離れていった。


「…っ」


その時に、かすかにかかる、熱い息。

冷たくなった頰に触れて、火傷しそうと思ったほど。



「…次、そんな可愛いことしたら、今度こそくちにするから」


「〜〜〜〜っ!?!?」



スッと離れていくその体温。

冷たい空気が再び頰をなぞっていったかと思うと、目の前には舌を出して笑っている珠理がいた。


…っ、ていうか…。


今、わたし、くちの横にキス…され…。



「近海の部屋じゃなかったら、フツウにくちにしてたからね。危なかったわね、めご」

「〜〜っ!!!!」



足先から、頭のてっぺんまで、再び熱が電気のように走っていくのが分かった。

ボッと身体が熱くなって、手や足には、力が入らなくなっていく。


「…っ、珠理!!!!!!」

「なぁに〜。可愛い顔して煽るアンタが悪いんでしょ?さ、お鍋食べに行くわよ〜!」

「ちょっと!!!待って!!!」



唇の横には、たしかに残ってしまった、珠理の熱。

いつまでも残るその熱さに、わたしはいつまでもいつまでも、侵されていた。




< 222 / 400 >

この作品をシェア

pagetop