ヒミツにふれて、ふれさせて。
突然の指摘にあたふたしていると、比較的落ち着いていた瀬名は、小さくため息をついた。
そして、そのまま言葉を続ける。
「…ねぇ、めご。ミノくんは、“めごがミノくんから離れて行くのが嫌だ” って、言ったんでしょう?」
「え…?」
—— “俺は、やだよ。めごに嫌われんの。めごが引いて、離れてくの”
「…」
…瀬名に言われて、珠理が言った言葉をもう一度思い出す。
…そうだ。珠理は、確かにそう言っていた。
「…っ、…うん」
…伝えたられた時の、胸にあっという間に傷を付けられた痛みまで思い出して、目の前が滲んできた。
そのくらい、あの時の珠理はとても珠理には思えなかった。
いつ思い出しても、冷たい声だった。
こわかった、とても。
わたしの知らない珠理みたいで。
「…めご」
溜まっていた涙がもう少しで流れてしまいそうと言う時に、瀬名は急いでわたしの手を握ってくれた。
わたしのと違って温かいそれは、とてもやさしくて、安心する。
「…めごは、ミノくんのこと全部知ったら、ミノくんから離れるの? ミノくんのこと、それだけで嫌いになるの?」
「……!」
限界だった。
下瞼のところで、やっと留まっていた涙は、瀬名の言葉によって決壊して、そのまま表に流れ出てくる。
次々と、温かいまま。
「…ちがうよね、めご」
「…っ」
瀬名の言葉が、もやもやとしていたわたしの心に突き刺さる。
それと同時に、わたしの名前を呼びながら笑う珠理の笑顔が、頭の中で生まれていく。
「ミノくんのこと、大切なら迷わないの。見逃しちゃダメ。大切なものができたなら、諦めちゃだめ、伝えなきゃだめだよ」
「…っ、う、せな…」
「ミノくんは、めごを拒絶したわけじゃなんだよ。めごに嫌われるのがこわいって言ったの。じゃあ、めごは何て言葉をミノくんにかけてあげる?何を伝えればいい?」
「っ、瀬名…」
…わたし、なんで分からなかったんだろう。
ちょっと考えれば、分かっていたことだったのに。
あの時、なんて珠理に言ってあげればよかったのかなんて。
もう、分かっていたはずだったのに。