ヒミツにふれて、ふれさせて。


突然の指摘にあたふたしていると、比較的落ち着いていた瀬名は、小さくため息をついた。

そして、そのまま言葉を続ける。



「…ねぇ、めご。ミノくんは、“めごがミノくんから離れて行くのが嫌だ” って、言ったんでしょう?」

「え…?」




—— “俺は、やだよ。めごに嫌われんの。めごが引いて、離れてくの”



「…」



…瀬名に言われて、珠理が言った言葉をもう一度思い出す。


…そうだ。珠理は、確かにそう言っていた。



「…っ、…うん」


…伝えたられた時の、胸にあっという間に傷を付けられた痛みまで思い出して、目の前が滲んできた。

そのくらい、あの時の珠理はとても珠理には思えなかった。


いつ思い出しても、冷たい声だった。


こわかった、とても。


わたしの知らない珠理みたいで。




「…めご」


溜まっていた涙がもう少しで流れてしまいそうと言う時に、瀬名は急いでわたしの手を握ってくれた。


わたしのと違って温かいそれは、とてもやさしくて、安心する。



「…めごは、ミノくんのこと全部知ったら、ミノくんから離れるの? ミノくんのこと、それだけで嫌いになるの?」


「……!」




限界だった。


下瞼のところで、やっと留まっていた涙は、瀬名の言葉によって決壊して、そのまま表に流れ出てくる。


次々と、温かいまま。



「…ちがうよね、めご」


「…っ」



瀬名の言葉が、もやもやとしていたわたしの心に突き刺さる。

それと同時に、わたしの名前を呼びながら笑う珠理の笑顔が、頭の中で生まれていく。



「ミノくんのこと、大切なら迷わないの。見逃しちゃダメ。大切なものができたなら、諦めちゃだめ、伝えなきゃだめだよ」


「…っ、う、せな…」


「ミノくんは、めごを拒絶したわけじゃなんだよ。めごに嫌われるのがこわいって言ったの。じゃあ、めごは何て言葉をミノくんにかけてあげる?何を伝えればいい?」


「っ、瀬名…」




…わたし、なんで分からなかったんだろう。



ちょっと考えれば、分かっていたことだったのに。

あの時、なんて珠理に言ってあげればよかったのかなんて。




もう、分かっていたはずだったのに。







< 244 / 400 >

この作品をシェア

pagetop