ヒミツにふれて、ふれさせて。


「…嫌いになんて、ならないよ…っ」

「…うん」

「そんなこと、あるわけないのに…」

「うん」


珠理は、わたしが泣いていると必ず駆けつけてくれた。力強い声で、“俺以外の前で泣くな” って、言ってくれた。

わたしが元気がない時も、“元気になった?” って、“落ち着いた?” って、何度も何度も、確かめてくれていた。

わたしが今まで誰にも言えなかった、リョウちゃんとのヒミツも、珠理は全部分かってくれたように、何も聞かないで、そのままのわたしを受け入れてくれた。

わたしが、誤解して泣いてしまった時は、自分の体調が悪くても飛び出して、迎えに来てくれた。わたしが悩まないように、誤解を解いてくれた。

寂しくないように、楽しいことをたくさん増やそうって、色々なところに連れて行ってくれた。


…わたしは、たくさんのことを、もらっていたのに。


珠理が、一番不安に思っているところに、気づいてあげられなかった。




「…どんな珠理だって、きらいになんか、なれないと思う………」



そう、言ってあげれば良かったんだ。

あの時、ただ見送るんじゃなくて。泣くんじゃなくて。突っ立ってるんじゃなくて。

あの、悩みを抱えているであろう大きな背中を捕まえて、そう言ってあげればよかった。

たとえ、珠理がわたしを頼らなくても、わたしに嫌われるのを怖がっているのであれば、それだけでも、あの時助けてあげればよかったんだ。



「…なんで、今気づくんだろう…」



ごめんね、珠理。



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