ヒミツにふれて、ふれさせて。


瀬名が、いつの間にか、向かい側ではなくて隣の席に移動していた。わたしの横に腰掛けると、周りの目から隠すように、そのまま背中をさすってくれる。


「……っ、ごめん、瀬名…」


こんなところで泣いちゃって。人の目もあるのに、みっともないったらありゃしないね。

それでも瀬名は、ううんと首を横に振ると、笑ってわたしの方を見た。


「めごに、こんなになるまで想える人ができて、良かったなあって思ってる」

「へ……」

「ミノくんのことで、ミノくんを助けたいって泣けるようになって、良かったって親友としては感じてるよ」

「……っ」


だから、泣いてもいいよ。と、瀬名はまたやさしく笑った。


目の前に、あとひとくち分だけ残っている栗のタルトは、今のわたしの想いには甘ったるくて、もう食べられないと思った。

瀬名が目の前に置いてくれた、ガラスのコップに入った水を飲んで、流れてくる涙を拭う。

ヒクヒクと痙攣していた喉は、少しずつおさまって、珠理のことでゴチャゴチャしてしまっていた頭の中も、少しだけすっきりしていた。


「…めご、泣きやんだ?」


瀬名がまた、やさしくそう問いかけてくる。その声はやっぱり柔らかい。珠理とはまた、違う安心感を与えてくれて。

思わず、また泣きそうになるけど、ここまでおさまったんだからと、ぐっと堪えた。


「…うん、ありがとうね、瀬名」

「ふふ。ミノくんのことで泣いているめごを慰めるのは、わたしの役目ですから」

「ははは…っ、なにそれ」


…本当に、わたしは周りに恵まれていると思う。

こんな風に、たくさんのやさしさに包まれてきたから、わたしはいつも、こんなにも幸せなんだ。


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