副社長のいきなり求婚宣言!?
 PCの時刻が定時を指したところで、机の下に置いていたキャメル色の大きなトートバッグをひったくるように立ち上がった。

 副社長室と同フロアにある秘書課は、18:30を迎える前に照明が消える。

 それを待つ間に、差し入れでも買っていこう。


 いつもご馳走してもらってばかりで申し訳なくて、でも財布を出したら怒られる。

 だったら、目の前で財布を見せなきゃいいんだ、とやって来た休憩室。

 飲み物くらいは持って行っても、怒られることなんかじゃないはず。

 この程度で全部をお返ししきれるなんて思ってはいないけれど、そこは気持ちの問題だ。

 安い見返りに呆れながらも、あの人ならきっと受け取ってくれると思う。

 目尻を下げて微笑む超絶イケメンを思い浮かべると、胸はきゅっと浮かれた音で脈を打った。
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