副社長のいきなり求婚宣言!?
 飲み物は、何がいいだろう。

 ミルクティーなんて顔じゃないし……やっぱりブラックコーヒーが無難かな。


 定時を過ぎたひと気のない休憩室に、缶を落とす自販機の音が響く。

 あったかいブラックコーヒーとミルクティーを懐に抱いて、そこを出ようとすると、突然聞こえた大きな溜め息と舌打ちが私の足を止めさせた。

 誰もいないと思っていたから、振り向き様に小さく肩が飛び上がる。


「まどか……?」


 聞き覚えのある声に、一瞬鼓動が止まる。

 顔を上げると、私の心を引きちぎってしまいそうなほどの懐かしい人が、そこにたたずんでいた。


「亮介、さん……」


 思わず口した名前が、まだ口馴染みの感覚を残していたことに、胸がぎゅうっと苦しくなる。


「なにお前、ここにいたの」


 驚いたのは亮介さんも同じだったようだ。
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