副社長のいきなり求婚宣言!?
「それに比べて、お前はその自慢の腕で存分に可愛がってもらってんだろ?

 今度は誰に飼ってもらってるんだ?」


 心に、全身に、亮介さんからの言葉の棘が突き刺さる。


 ――“まどかの家は愛に溢れてるな。素敵だよ、本当に”。


 封印していた過去から、亮介さんの優しい声が顔を覗かせてくる。

 遠慮なく突き立てられる鋭利な言葉との激しい差に、混乱する感情が目元から滲み出てきた。


 私は、亮介さんのために……画を描いていたのに……

 飼われてる、なんて……


 ふと頭を過るのは、副社長の顔。

 下がった目尻をくしゃっと崩して、いい子だねって褒めてくれているようなあったかな笑顔だ。

 腕の中に抱いているふたつの缶が、副社長の温かさを思わせる。
 

 ……副社長は、亮介さんとは違う。

 私を飼うなんて、そんな支配欲に溺れている人じゃない。
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