副社長のいきなり求婚宣言!?
 見上げる副社長の夕陽に照らされる綺麗な横顔。

 あの天上の世界から見下ろした果てしない夜景よりも、ずっとずっと見ていたくなるほどの魅力は、どこから溢れているの?

 
「こいつの画は気持ちに染まりやすいから、容易く傷を付けないでいただきたい。

 もっとも、もう他の誰にも触れさせるつもりは微塵もないがな」


 腕の中にある缶よりも、もっと熱く感じる掌が背中に添えられる。

 夕陽色に輝いた瞳が私を見留めてくれると、胸の奥で大きく鼓動が弾けた。

 行くぞ、と眼差しだけで語る副社長に、小さく頷く。

 副社長と並んであとにする休憩室では、沈む夕陽とともに亮介さんの悔しさが揉み消されていったような気がした。


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