あなたと同居なんてありえません!
香澄さんは手にしていたさいばしを思い切り落とし、両手を広げてパタパタと走ってきた。
「可愛い、可愛い!」
すると、華奢なその体で私を抱き締めた。
細長いその腕のどこにこんな力があるのか……と、びっくりするほどにぎゅうっと。
……可愛くないんですけどね、私は。
「か、香澄……さんっ、ご飯、大丈夫なんですか?」
「あぁーっ、焼いてるんだった!」
またパタパタと走って台所に戻り、焦げていなかったのか安心したようにこっちを見て笑った。
おお……。 香澄さん、朝から元気だな。
しかも、かなり天然混じってるよね?
美人で、性格よしで、天然混じり。
こりゃ、モテる人だ。
いつも朝はソファで数分くつろぐのだが、とられてしまった私はテーブルの椅子に座った。
七瀬玲が半分使ってるから、もう半分空いてるんだけど、あいつとの隣なんて嫌だし。
「陽葵ちゃーんっ、このソファいいねぇ」
くるり、と七瀬玲はこちらを向いた。
そりゃそうだろうよ! 私が気持ちいいと思って、買ってもらったんだから!
なんて、子供じみた答え方したくないし、
「そりゃ良かったです」
と、大人っぽく言ってみた。