ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 彼の勢いはとどまることを知らない。

「もうっ……」

 葵は顔を真っ赤にしたまま、こぶしを握って、蒼佑の胸を叩く。

(このままでは台所で、卑猥なことになってしまう!)

「もうっ、もうっ、やめてっ……!」

 わりと真剣に拒否の声をあげると、蒼佑がぴたりと動きを止めた。

「――ダメ?」

 葵の怒りが伝わったらしい。美しい眉を顰めて顔を覗き込む。

「だっ……だめっ……」

 犬に向かって、ステイと叫ぶノリで、葵は首を振った。

「どうしても?」

 念押ししてくる蒼佑だが、

「どうしても、よ!」

 葵も譲らなかった。

「――わかった」

 しばらく迷ったようだが、蒼佑は軽くため息をつくと、膝を引いて、両手で葵の乱れた髪を整え始める。

 自分で乱したくせに、長い指で額にかかる髪を払い、頬に張り付いた髪を取り除き、そして両手で葵の頬を包み込むと、そのまま顔を近づけて、額に口づけた。

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