ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
(う……嘘だと言って……!)
キッチンの入り口に、目を丸くして棒立ちしているナツメを発見して、葵はその場に、倒れそうになってしまった。
「いや~邪魔して悪かったね、葵ちゃん」
ナツメはケラケラ笑いながら、葵が作ったフレンチトーストとサラダを食べ、蒼佑がマグカップに注いだコーヒーを飲む。
薄手のパーカーにデニムという姿のナツメは、昨晩友人の家に泊ってきたはずだ。
まさかナツメが午前中に帰ってくると思っていなかったので、葵はこの状況にショックを受けていた。
(ああ、最低だ……弟に見られたなんて……)
葵はショックのあまり、一気に食欲が失せてしまった。とりあえずコーヒーにたっぷりと牛乳を入れて飲みながら、ナツメとテーブルで向き合う。
「あのね、なっちゃん……これには深い訳があって」
とりあえず、ナツメはいろんなことを知らないし、誤解しているはずだ。
全てを語るつもりはないが、単純に、恋人ができたと思われるのも困る。