ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
とりあえず最愛の弟の信頼を損なうのは避けられたと、ホッとした葵だが、ナツメはなにを思ったのか、「ちょっと待ってて」と言って立ち上がると、リビングを出て行き、封筒のようなものを持って、戻ってきた。
「これ、使って」
「え?」
「今度の週末、俺が出るファッションショー。っていうか、イベント。よかったら天野さんと見に来てよ。葵ちゃん、休みでしょ?」
壁にかかっているカレンダーのシフトを見て、ナツメがにっこりと笑う。
(ん……んん?)
葵は無言で目をぱちくりさせたが、ナツメはなぜか自信満々に、肩を竦める。
「葵ちゃん、二十六にもなってどんくさいからな。このままじゃ延々、天野さん待たされそうだし。そんなのかわいそうだし」
「いや、なっちゃん……」
わかってもらえたとホッとしたのもつかの間。なんと弟から、ふたりで会う手はずを整えられそうになっている。
お前はいったいどっちの味方なんだと尋ねるまでもなく、ナツメはどうも蒼佑の肩を持ちたがっているようだ。
(た……大変だ!)
葵からどっと冷汗が噴き出した。