ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 葵は息を飲んだ。

 確かに蒼佑が一緒にいたら、この事故は起こっていなかったかもしれない。
 だが、そんなことを言っても仕方ないし、そもそも蒼佑は何も悪くないのだ。

 なのに蒼佑は、まるで自分がこの事故を引き起こしたかのように、気に病んでいる。

「君を失うくらいなら、後を追って死ぬ」

 その言葉に、葵は震えるくらい驚いた。

 誰がどう見ても、傷だらけでボロボロなのは葵の方なのに、蒼佑の心のほうが、ずっと傷ついている気がした。

「し……死ぬなんて……そんなの……やめて」

 思わずそんなことを、しどろもどろに口にしていた。

「だったら君の安全を守らせてくれ」

 蒼佑はそう言って、唇を引き結ぶ。
 悲壮感が伝わってくるようで、葵は胸が詰まる。

「わかった……」

 もはや根負けだ。
 蒼佑の前では、いつもこうなってしまう。

「ありがとう」

 蒼佑はホッとしたように表情を緩め、そのままそっと、葵の額に祈るように唇を押し付け、また安心したように葵の頭を撫で始める。

(でも……俺のところって、どこなんだろう?)

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