ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 それから葵は、翌日に精密検査を終えて、明日、退院となった。完全に時間の感覚がなかったのだが、葵が覚醒したのは事故の次の日の、夕方だったらしい。
 それから蒼佑が「俺の友人の弁護士だから」と、ひとりの男性を病室に呼んだ。

 神尾閑(かみおしずか)と名乗った男性は、甘い雰囲気の王子様系男子で、葵からひとしきり話を聞いた後、「あとのことは任せてください」とにこやかに微笑み、病室を出て行った。

「――お友達なの?」

 なにもかも任せてしまっていいのかわからなかったが、蒼佑の友人で、信頼している弁護士と言われれば、受け入れるしかない。
 神尾を見送って、戻ってきた蒼佑に尋ねると、

「ああ。学生時代からの数少ない友人のうちの一人だ」

 と、うなずく。

「へぇ……」

 数少ないというのはなんだか意外だった。
 蒼佑は人当たりもよく、どこからどう見ても、完璧で、彼と友人になりたいと思う人は、たくさんいるだろう。

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