ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
他人の悪意に晒された恐怖は、早々拭えるものでもない。だからこそ、あれはたまたま自分の身に怒った事故だったと思いたい気分も、一割程度だが、心の隅っこに存在していた。
その言葉を聞いて、ナツメは落ち込んだままうなずいた。
きっとナツメの中では、自分のせいだという事実は揺らがないのだろう。
そんな弟の顔を見ると、胸が締め付けられる。
「で、目が覚めたってきいて、さっきちゃんと連絡したから。母さん、帰ろうかって言ってたけど……」
「それはいいわ。もう明日退院していいって言われたし。お母さんには落ち着いたら、私から連絡しておく」
「うん。わかった」
ナツメはうなずいたが、相変わらずどこか不安そうで、「俺、病院に泊まろうかな」と言い出した。
「なに言ってるの。学校あるでしょ」
「それはそうだけど」
ナツメは少し不満そうだ。
「大内さんのところに泊めてもらうんでしょ?」
「うん。それはありがたいんだけどさ~……はぁ」
そしてナツメは、葵の手の甲の上に、そっと指を乗せる。