ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
彼を傷つけなくて本当によかった。
葵の気持ちは、今まさにこみ上げてくるこの思いは、その一点だけで。
だからこそ、悪意はなくとも、ちょっとしたいたずら心を起した蒼佑には、次第にどうしようもない苛立ちが起こった。
(ムカつく、ムカつく、ものすごーく、ムカつく……!)
葵は、力任せに蒼佑の胸を押し返す。
そしてしゃくりあげながら、蒼佑をにらみつけた。
「ひとりに、して」
「えっ!?」
「ひとりにっ、なりたいのっ……」
我ながら子供っぽいと思うが、その瞬間、蒼佑の顔からサーッと血の気が引く。
「あ、葵……」
蒼佑は数秒固まっていたが、自分が出て行かねば、葵が出て行くことが、この場の空気でわかったのだろう。
「わかった……」
しょんぼりと立ち上がると、そのまま肩を落としたまま部屋を出て行ってしまった。