ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 背が高く、基本的に堂々とした彼が、しょぼしょぼと立ち去る姿は、ある意味ちょっと切ない景色だが、葵は手の甲で頬に残る涙を拭いて、ため息をついた。

「――ふう……」

 そのままソファーに倒れ込む。

(私、些細なことで怒りすぎなんだろうか……)

 どう考えても、さっきのことは蒼佑が悪いと思う。

 だが怒りすぎな自分にもちょっとどうかと思う葵である。

 蒼佑に再会してから、ずっと、心が忙しい。
 怒ったり泣いたり。それだけではない。たまに、笑ったり。ホッとしたりする。

(いやいや、本当にたまーにだけど……)

 それまで、ずっと凪のように静かに生きてきた葵にとって、蒼佑との再会は、突然嵐の中に放り込まれたような出来事だった。

(あの人は、どうなのかな……)

 蒼佑だって、この数か月で人生が豹変してしまったのではないだろうか。

 葵とのことを後悔していたとしても、再会したことに後悔は全くないと言えるのだろうか。

 いろんなことを考えて、モヤモヤする。

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