ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「……すごい!」
その言葉に、葵は感激して、大きな声をあげてしまった。
「え?」
まさかの反応に、蒼佑が目を丸くした。
「お菓子が作れるなんて、すごい! 私、クッキーを焼いたのは、高校の調理実習だけよ」
「いや、でも簡単なんだよ」
蒼佑は苦笑して、型抜きを持ち上げた。
「やる?」
「やる!」
葵は強くうなずいた。
「じゃあここに座って」
蒼佑は椅子を引いて、葵を座らせると、手に型抜きを持たせてくれた。
「いつからできるようになったの?」
葵の記憶の中の蒼佑は、お菓子など作れない。
「アメリカに行ってからだな。大使館のバザーをてつだっているうちに、覚えて……」
「そうなんだ」
葵はクッキー生地の上にワクワクしながら、型を押し込む。
無心になってせっせと抜くと、蒼佑がそれを手際よく天板にならべ、オーブンへと入れていく。