ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「こんなに楽しいことするなら、誘ってくれたらよかったのに」
「そうだな。クッキーを一緒に焼こう、だから機嫌を直してって言えばよかった」
「ふふっ……そうよ……。私、きっと行ってたと思う」

 すると背後から、両腕が伸びてきて、肩からこぼれる葵の髪をそっとまとめて後ろに流した。

「髪に粉がついてる」
「えっ?」

 肩越しに振り返ると、蒼佑が顔を見て笑った。

「頬にも」
「うそ……」

 まるで子供だ。さすがに一生懸命になりすぎたのだろうか。恥ずかしい。

 赤面して顔を背けようとした葵に、

「うそじゃない」

 蒼佑は頬を傾け、葵の頬に口づけた。

 チュッと、音がして。舌先が頬の上に微かに触れる。
 なめとられたのだと気が付いて、動揺した。

「おっ、おなか壊すわよ!」
「壊さないって」

 蒼佑はクスッと笑って、それから真面目な顔になった。

「葵、さっきは本当にすまなかった」
「――うん」
「許してくれる?」
「うん……私も、クッションでぶったりして、ごめんなさい」

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