ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
確かに喧嘩もしたけれど、蒼佑といる時間は、楽しかった。
一緒にクッキーを焼いて、それをきれいに瓶詰めして、毎日少しずつ食べようと、キッチンのテーブルで額を寄せ合っていた時、幸せだった。
それはかつて、葵が蒼佑と過ごしていた時間とそん色ない、なんということもない日常の中にある特別、色鮮やかな時間だった。
「はぁ……」
葵は息を吐き、そして両手をぎゅっと胸の上で組み、天井を見上げる。
再会したばかりの頃は、彼の視界に入ることすら嫌だった。
忘れられないと何度言われても、迷惑でしかなった。
けれど蒼佑は、昔とは変わっていた。昔よりずっと大人になっているはずなのに、どこかあやうい気配を漂わせながら、ただひたすらまっすぐに、葵の愛を乞うている。過去のことを詫びながら、それでも今の俺を愛してほしいと、まっすぐに情熱を向けてくる。
だからと言って、その思いにあてられて、葵の中で蒼佑に対する恋心が、再燃したというわけでもない。