ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 八年前、あの頃はただ盲目的に、蒼佑を好きで、彼のことを半ば崇拝するように恋していた。そして心を引き裂かれるような別れを経験した後、完全に消え去ってしまっていたはずだ。

 なのに、今、彼への思いは形を変えて、また新しく生まれようとしている。
 そう。さすがにもう、これ以上、ごまかすことはできない。

(私……昔とは違うけど……今のあの人のこと……きっと……好きなんだ)

 自覚した瞬間、胸が締めつけられて、息が苦しくなった。
 目の奥が熱くなって、泣きそうになる。

(そうなんだ……私……)

 葵は、ぐっと唇を嚙んで、顔を両手で覆う。

  今までさんざん押し込められていた胸の奥から蒼佑への気持ちが、確かにここにあるのだと、主張しているかのように、心臓がドキドキと鼓動を打ち、今、新しく自分自身が生まれ変わっていくような気がした――。


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