ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「いや、そんな思い切り笑わないで……。でもごめん。危なかった……俺の不注意だ。気を付ける。反省だな……」
「うん、そうね。火をかけているときは離れてはだめね。気を付けないとね」
葵は目の端に浮かんだ涙を指先で拭いながら、励ますように蒼佑の隣に立つ。
「手伝うから」
「ありがとう」
蒼佑は穏やかに微笑んで、新しいフライパンを取り出す。
「葵のために、世界一美味しいハムエッグを作ろう」
「普通でいいってば」
そんな彼の横顔を見ながら、葵はふと、このふたりの生活を――限りがあるものだとわかっていたが、少しでも楽しい気持ちで過ごしたいと、思ったのだった。
だが三日目にして、蒼佑は家を留守にすることになった。現場の会議で、どうしても蒼佑の出席が必要だと言う。今日は金曜日だ。月曜日に持ち越すことはできないのだろう。
「このネット時代に……わざわざ顔を合わせる必要なんてあるかな」
「仕方ないでしょ。頑張ってきて」