ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
ぶーぶーと文句を言いながらネクタイを締める蒼佑を、葵は笑いながら励まし玄関まで見送る。.
「はぁ……。なるべく早く帰ってくるから。葵、リハビリだなんて、フラフラ外に出てはダメだよ」
「了解しました」
「あと、変な人が来ても、玄関の鍵は開けないように」
「この屋敷に変な人なんて来るの?」
どう考えても、飛び込み営業などできる門構えではないのだが、蒼佑は軽く肩を竦めて「どうも心配で」と靴を履き、そして葵の肩に両手を置いた。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「……」
蒼佑は無言で、葵の目を見詰めた。
自分の方が高い場所に立っているので、いつもより視線が近い。それでも蒼佑の方が、まだ背は高いのだが。
「どうしたの?」
なぜ彼が自分の肩をつかんで離れないのか、わからない。すると蒼佑が唐突に、ビックリするようなことを言い放った。
「い……行ってきますの、キスしたいんだけど」
「えっ!?」
「――」
じいっと穴が開くほど見つめられて、葵は顔を赤くする。