ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「な、なに言って……」

 あたふたする葵を見て、蒼佑は意を決したようにきりっと唇を引き結ぶと、

「行ってきます」

 軽く頬を傾けて、葵の頬にキスをする。

(あ……ほっぺただった……)

 ホッとすると同時に、いったい自分は何を期待していたのかと恥ずかしくてたまらない。葵は照れる気持ちを必死で押し殺して、蒼佑の胸を押し返す。

「ほら、早く行って。表に車、待たせてるんでしょう?」
「うん、わかった」

 蒼佑はにっこりと笑って、さわやかに踵を返し、戸を開けて出て行った。

「ふう……」

 思わずため息が口をついて出るが、嫌な気はしなかった。

(さて、今日はなにをしようかな……)

 葵は軽く部屋の掃除をしたあと、お茶を淹れて、台所のダイニングテーブルに座り、スマホを見つめた。

 今日、夕方に学校帰りのナツメが来る予定になっている。
 必要なものがあるなら、持ってくると言われたのだが、この屋敷には日々生鮮野菜や肉、魚が運び込まれ、洗濯ものですら業者がやってきて、すべて持って行って、また新しいものを持ってくる。
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