ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
葵はテーブルの上に突っ伏して、唇を噛みしめる。
八年前と今は違う。
ズキッと胸の奥が、痛くなる。
物欲もそれほどない、今さらなにかが欲しいなどと、思っていないのは間違いないが、過去の恵まれていた自分が、少しだけ羨ましいとさえ、思ってしまう。
(どうしようもないな、私……いっぱいいっぱいだ)
それから、午後の三時ごろ。玄関のチャイムがピンポンと鳴った。
「はぁい!」
少し早いが、ナツメが来たのだと思った葵は、いそいそと玄関へと向かって、戸の鍵を開ける。
「ずいぶん早かったのね……」
そう、言いながら戸を開けた葵は、絶句した。
なぜなら戸を開けた目の前に立っていたのは、美しい和服姿の女性で。
「――おひさしぶりね、葵さん」
「あ」
葵は大きく目を見開いたまま、固まってしまった。
そう、目の前に立っていたのは、蒼佑の母――天野りか子、その人だったのだ。