ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
蒼佑の手が無言で背中と頭の後ろに回る。
長い髪の中に指が差し込まれて、ふわふわと髪が空気を孕みながら、広がってゆく。
葵も応えるように、蒼佑の背中に腕を回した。
それは、今まで何度かかわしたような、強引なキスではなく、お互いの存在をおそるおそる確かめ合うような、そんな優しいキスだった。
「――心臓が壊れそうだ」
そう言ったのは蒼佑で、葵ではなかった。
「大げさね」
と葵が笑うと、蒼佑は葵の手をとり、自分の胸に上に乗せる。
「そう思う? 誇張はしてないが」
どうやら触れて、確認してみろと言いたいらしい。
「待って。ちゃんと確かめるから」
葵はそのまま顔を傾けて、右の耳を蒼佑の心臓のあたりに押し付ける。
すると、彼の逞しい胸の奥から、ドクン、ドクンと大きな鼓動の音がした。
「あ、本当だ」
頬をくっつけたまま笑うと、頭上から「はぁ……」と吐息が漏れる。