ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 あの告白のあと――。
 なんとなく照れてしまった葵は、散歩でもしようと蒼佑に告げ、手を繋いで周囲の散策をした。

 なにをするわけでもない。蒼佑がアメリカに行っていたときどんな仕事をしていたのか、そんな話をしながら、ゆっくり散歩しただけだ。

 だが、そこで初めて葵は、蒼佑の夢を聞いた。
 蒼佑は、飲料メーカーの跡取り息子だが、野菜や果物にも興味があるらしい。

「百貨店に入っているフルーツジューススタンドって、砂糖やシロップを使っているところが多いんだ。できるだけ自然の甘みで、もっと美味しい飲み物ができないかって、考えてる」

 夢を語る蒼佑の横顔は、とても真剣だった。その眼差しを見て、素敵だと思った。応援したいとも。

 苦し紛れに誘った散歩だが、今まで彼がどんなふうに過ごしてきたのか、今後どんなふうに働きたいと思っているのか、その片鱗を知れてよかったと思う。

 その後、部屋に戻って先に、蒼佑がお風呂に入った。一緒に入ろうと言われたときは、死ぬかと思ったが、葵はそれを『明るい所では絶対に嫌だ』と必死に固辞して、入れ違いに露天風呂に入ったのだ。
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